欧洲杯投注指定官网_澳门金沙城中心_腾讯体育

图片

岐阜薬科大学

岐阜薬科大学薬理学研究室の堀江哲寛大学院生(日本学術振興会特別研究員)、深澤和也助教、檜井栄一教授らの研究グループは、筑波大学、国立障害者リハビリテーションセンター、東京医科歯科大学、金沢大学との共同研究により、間葉系幹細胞(※1)と呼ばれる幹細胞の機能を調節する因子を発見しました

生体を構成する骨組織では、骨リモデリング(※2)と呼ばれる生理現象が絶えず行われています。このリモデリングのバランスが崩れると、骨が異常に増加する大理石骨病や、骨がもろくなる骨粗しょう症を発症します。これらの運動器疾患はQOL(quality of life、生活の質)を著しく低下させることから、骨を健康な状態で維持する仕組みを解明することは臨床的かつ社会的に重要であると言えます。

研究グループはこれまでに、間葉系幹細胞に発現するExtracellular signal-regulated kinase 5(Erk5)と呼ばれるタンパク質が、胎生期の骨格形成を制御していることを明らかにしています(Iezaki T., Horie T., et al., Development (2018))。一方で、Erk5が生後の骨形成に対してどのような役割を果たしているかについては分かっていませんでした。本研究では、新たに作製した遺伝子改変マウスや培養細胞などを用いた実験から、生後の骨形成においてもErk5が極めて重要な役割を果たしていることを見出しました。本成果は様々な骨系統疾患の発症メカニズムの解明及び新規治療法開発に貢献することが期待されます。

研究成果の概要


画像1.png
研究グループはまず、間葉系幹細胞特異的にErk5を欠損させたマウス(以下、間葉系幹細胞特異的Erk5欠損マウス)を作製しました。作製したマウスの大腿骨を解析したところ、成長とともに骨髄内に異常な骨形成が起きていることがわかりました(図1)。

画像2.png次に、なぜ間葉系幹細胞特異的にErk5を欠損させると骨が増加するのか、という点を明らかにするため、バイオインフォマティクス(※3)解析を行いました。その結果、Erk5の発現が低い間葉系幹細胞では、骨芽細胞への分化が亢進している可能性が示唆されました。そこで実際にマウスから間葉系幹細胞を回収し、骨芽細胞へと分化させたところ、間葉系幹細胞特異的Erk5欠損マウス由来の細胞では骨芽細胞分化が著明に亢進していました(図2)。タンパク質発現解析の結果、Erk5欠損間葉系幹細胞では、骨芽細胞分化に必須のRunx2やOsterixと呼ばれるタンパク質が著明に増加していました。このことから、Erk5は間葉系幹細胞から骨芽細胞への分化を抑制していることが示唆されました。

画像3.png最後に、間葉系幹細胞に発現するErk5が、どのようなメカニズムで骨芽細胞への分化を制御しているのかを検討しました。研究グループはこれまでに、Erk5がSmurf2(※4)の活性化を介して、胎生期の骨格形成を制御していることを見出しています。そこで、本研究でもErk5-Smurf2シグナルに着目しました。間葉系幹細胞特異的Erk5欠損マウスにSmurf2活性化体を導入したところ(=レスキューマウスを作製したところ)、骨量の増加が劇的に回復することが明らかとなりました(図3)。

本研究成果より、Erk5は間葉系幹細胞から骨芽細胞への分化を制御する"キープレイヤー"であり、胎生期のみならず生後の骨形成においても重要な役割を果たしていることが示されました(図4)。

画像4.png 4: 間葉系幹細胞のErk5は、Smurf2の活性化を介して骨芽細胞分化を制御する。

本研究成果のポイント

  • Erk5は間葉系幹細胞から骨芽細胞への分化を抑制していることが明らかとなりました
  • Erk5はSmurf2の活性化を介して間葉系幹細胞の分化を制御していることが示されました
  • Erk5が様々な骨系統疾患の新規治療標的となる可能性があります

用語解説

※1 間葉系幹細胞
骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞へと分化する能力を持つ成体幹細胞の一種。骨髄や脂肪組織に多く存在することが知られている。

※2 骨リモデリング
破骨細胞が古い骨を吸収(破壊)し、続いて骨芽細胞が新しい骨を形成する現象。骨組織を健康な状態に保つために重要な仕組みである。

※3 バイオインフォマティクス
生物学(Biology)と情報科学(Informatics)の融合領域。DNAやRNAといった生命が持つ情報を分析し、生命現象を明らかにしていく学問及びその手法を指す。

※4 Smurf2
E3ユビキチンリガーゼと呼ばれるタンパク質の一種。「ユビキチン」という目印をつけることで、タンパク質の分解を促進させる働きを持つ。

論文情報

  • 雑誌名Stem Cells
  • 論文名Erk5 in bone marrow mesenchymal stem cells regulates bone homeostasis by preventing osteogenesis in adulthood

    (骨髄間葉系幹細胞に発現するErk5は骨形成を抑制することで骨組織の恒常性を維持する)

  • 著者名:堀江哲寛、深澤和也、山田孝紀、水野聖哉、家崎高志、徳村和也、岩橋咲幸、坂井志帆、鈴木紅音、久保拓也、大角竜馬、冨沢茜、越智広樹、佐藤信吾、金田勝幸、高橋智、檜井栄一
  • DOI番号10.1093/stmcls/sxac011